ヘッドコーチが教えてくれる采配手法

bjリーグファイナル(優勝決定戦)


「ECC presents bjリーグ 2009-2010シーズン プレイオフ ファイナル4」というバスケットボールイベントがある。「bjリーグ」には、イースタンカンファレンス(東地区)とウェスタンカンファレンス(西地区)があり、上位2チームの合計4チームで優勝を競い合う。今年は、イースタンから「浜松・東三河フェニックス」が、ウェスタンから「大阪エヴェッサ」が勝ち進み、2010年(平成22年)5月23日に東京の「有明コロシアム」で優勝戦がおこなわれた。


中村和雄 対 天日謙作の采配

この試合。もうひとつの側面で見どころがあった。それは、「浜松・東三河フェニックス」を率いる名将・中村和雄ヘッドコーチと「大阪エヴェッサ」を率いる天日謙作ヘッドコーチとの采配合戦。動きの中村に対して頭脳の天日。別の言い方をすれば、熱き名将・中村と冷静な指揮官・天日。さらに言えば、吠える中村と冴えわたる天日の戦いでもあった。どちらがバスケットチームという小集団を指揮して勝利を手にするのか。興味津々であった。

天日はコート脇でもジェントルマン。心は燃えていても冷静に検証して指揮と指示をする。
コート脇でもメモをとり分析をする。それ故に間違いは少ないという。選手時代は松下電器に所属。日本リーグ、天皇杯で優勝の経験を持つ。ジェントルマンでありながら「激しいプレッシャーとスピーディなプレー」が特長。

それに対する中村。とにかく動き続く、吠え続ける。コート脇にいるのではなく、まるでもうひとりの吠える選手。そう言った方が的確。その声は、歓声より高く、審判のホイッスルより響き、選手より先にボールを持っている感じだという。今回でもそうしたシーンは数々見られた。「魅せるバスケット」が特長。


手前が天日ヘッドコーチ(大阪)。奥が中村ヘッドコーチ(浜松)。


重要なポイントをメモする天日ヘッドコーチ。


スタッフとは何度も意見を戦わす。


ホワイトボードに書いて指示を出す。


天日は時に座って指示を出す。奥に中村ヘッドコーチ(浜松)

2人の采配は第1クォーターからぶつかった。

◎第1クオーター=14-16
序盤から大阪がプレスディフェンスを積極的におこない浜松の攻撃を阻止。徹底したマンマークに苦しむ浜松は、インサイドでの攻撃ができずアウトサイド攻撃。しかし得点に結びつかず苦しむ。天日は浜松の動きを見て的確に指示を出し続ける。
ディフェンスでの成功をオフェンスに反映したいところだが、浜松がひいたゾーンディフェンスが完璧で効率の良い攻撃が阻止された。中村は両手で各選手に指示を出し続ける。

◎第2クオーター=36-27(22-11)
大阪はディフェンスをゾーンに変更。それを見た浜松につつかれて崩され得点を許してしまう。特に浜松のホワイトは9得点5リバウンドとなる。
大阪は、浜松のインサイドをつくがディフェンスが堅く全面展開にならず。前半終了後で9点差は縮まらず。

◎第3クオーター=57-44(21-17)
後半に入り、大阪に活気が出る。ディフェンスにしまりが出る。オフェンスもインサイドへアプローチ。ダンクシュートなどで反撃開始。天日はほぼ立ったままで指示を連発するが、浜松も速攻で得点を続け、クオーター後半では13点差に。中村が各選手に声をかけ続けている姿が印象的。

◎第4クオーター=84-56(27-12)
大阪は3-2ゾーンで勝負を懸けるが、各所にミスが出て、効率的な攻撃にならず。それに対して怒濤のように勝利に走る目立つ。中村は次々に攻撃の指示を出す。浜松は、得点を重ねて行く。併せて大阪の反撃のチャンスをつぶして勝利に走り通す展開となった。

2人のヘッドコーチの采配。極めて興味深いものだった。



優勝決定戦でも、中村ヘッドコーチは吠えていた。奥が天日ヘッドコーチ(大阪)。



まるで選手のようにコート脇で。



日本のバスケのために働き続ける69歳。



ホワイトボードにコマを使って指示を出す。



動き、声を出し続ける中村ヘッドコーチ。
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