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2013年(平成25年)










 

ツール・ド・フランスが自分の人生

ツール・ド・フランス2011=エピソード


1903年。アンリ・デクランデュによってツール・ド・フランスがスタートしたのは1903年。明治36年のことだから驚く。フランス全土を年ごとに異なるコースを走りまくるロードレース。数え切れないほどのドラマを残し、フランスのみならず全世界の多くの人々に、困難を乗り越えること、チームメイトの大切さ、そして何よりも「勇気」を与えて現在に至っている。

ツール・ド・フランスは応援する人々の人生でもある

メルクスが通算96日もマイヨ・ジョーヌを着続けた時には、毎日毎日、フランス中のレストランで乾杯が続いた。「ベルギーとフランスが近づいた」と表された。
イーノがわずか32歳でロードレースから引退したときには、多くのフランス人が悲しんだ。イーノに自分の人生を重ねて応援するファンも多かった。
レモンが25歳で初制覇をしシャンゼリゼにアメリカ国歌が流れたとき「ロードレースの時代が変わり始めた」と喜ぶフランス人も多かった。
がんと戦いながらレースに参加したアームストロングに勇気づけられた同病の人も多かった。「彼が走り続けている限りオレは生きられる」と。
2度の悲しい大戦のために11年間の空白があるが、おおよそ100年間の歴史の中でツール・ド・フランスの残したものは大きい。

「11か月働いて1か月はツールドを楽しむ」と言う初老の彼は、妻を去年亡くした。「でも結婚してから55年間、妻と楽しんだツールドの思い出は自分たちの宝」と笑顔。キャンピングカーの中には、2人の声援する写真が所狭しと張られている。白カビのチーズをパンにつけ、ワインを飲みながら選手たちが通り過ごすのを待つ。懸命に応援をする。「誰つて。最後の選手だよ。いつもビリを応援し続けているんだ。50年間も」と。

写真は、沿道でレースを観戦する大家族。ツール・ド・フランスは競技でありながら、沿道で自由に観戦できるお祭りでもあり、そして応援する人の人生でもある。
(写真=大前仁、テキスト=富小路常明)